徒然なるままに what'new
HOME 源氏物語 コレクション 散歩・23区内 日帰り・プチ旅 よくばり日記

源氏物語 巻2
【目次】

末摘花   紅葉賀  花宴      賢木   花散里

禁断の恋、別れ、失脚への道
源氏18歳から25歳まで、波乱の人生 

系図をクリックすると拡大する

物語の扉 系図 巻1 巻2 巻3 巻4 巻5 巻6 巻7 巻8 巻9 巻10



末摘花(すえつむはな)

登場人物    

末摘花(すえつむはな) 想像を絶する醜女で世間知らずの貧乏姫君、あまりの不憫さに源氏は生涯面倒を見る。


【あらすじ】 

源氏は夕顔を忘れることが出来ず、恋い焦がれる「桐壺の宮」ともままなりません。正妻「葵の上」は、相変わらず突慳貪で、ぎくしゃくしております。それなのに、可愛らしい人はいないものかと、あちこち聞き耳を立てているのですから、あきれてしまいます。

大輔の命婦という女房から、亡き常陸宮の忘れ形見である姫君の事を耳にします。早速女房に手引きさせるのですが、例の「頭の中将」に後をつけられ、鉢合わせしてしまいます。ライバル登場に、焦る源氏、とうとう姫君と対面しますが、無口で何も話ません。初心なのだろうと思いながら、闇の中で思いをとげます。

ある日姫の処に訪れた源氏が、雪明かりのなかで見たものは、想像を絶する醜女、胴長、馬面、まるで末摘鼻のように長い赤鼻の姫君でした。さぞ、驚いたことでしょうね。おまけに、世間知らずで、詩もまともに詠めない。不憫に思った源氏は、一生面倒をようと、心に決めるのでした。

二条院の若紫は、日ごとに成長して、ますます可愛らしさを増しています。源氏は、自分の思い通りに育ってゆく、若紫にぞっこんです。ロリコンなのでしょうか?




(もみじのが)

登場人物  

源典侍(げんのないしのすけ)
家柄良く才気あり還暦近くで好色。プレーボーイ二人(源氏と頭の中将)を相手にする大姥桜。若いときはかなりの美人だったに違いない。


【あらすじ】 

、朱雀院へ行幸の折に、身重で見物出来ない藤壺の宮のために、清涼殿の前庭で舞楽の予行演習を行いました。
源氏は、藤壺に想いを寄せながら青海波を舞い絶賛されます。藤壺も舞姿に感動し夢見心地なのですが、、二人の秘密に心を痛めています。
御賀の当日、源氏の舞はさらに輝きを増し、この世のものとは思えぬほど美しく素晴らしいものでした。その夜、源氏は目出度く正三位に昇進したのです。
当時の王朝貴族たちの娯楽は、歌や漢詩、舞楽などの芸事や蹴鞠など、優雅なものだったようです。

藤壺の宮が里帰りしていましたので、源氏は様子が気になって会いに行きます。そこで、藤壺の宮の兄兵部卿宮と対面します。
自分の子供である若紫の事を何も知らない兵部卿宮は源氏を快く思い親しくします。もしかしたらの期待も空しく、藤壺の宮と会う事は出来ず空しく帰るのでした。
若紫との噂が流れ、葵の上との関係は、ますます悪化してしまいます。

還暦も間近という、家柄も良く才気有る典侍がおりまして、これが大変に好色家なのです。よりによって、若くて憧れの的存在の、源氏と頭の中将、この二人を共にたぶらかすとは誠に恐れ入りますこと。

出産予定を過ぎてもなかなか生まれないので、もののけのせいだなどと心配していますが、藤壺の宮は、出産予定日を12月と偽っていましたから、2月10日も過ぎてから、ようやく皇子が誕生します。
あまりにも源氏に生き写しなので、藤壺の宮は,ばれはしないかと生きた心地がしません。
女の怨念、弘徽殿の女御が呪っているのを耳にした藤壺は、滅入っていた気持ちを強く持ち直し、皇子のために生きる決心をします。
何も知らない帝は、源氏にそっくりの皇子を心のそこからいつくしみます。

逃げ腰の源氏に典侍が詠みかけた和歌に対して、源氏の返歌がユーモラス

** 君し来れば手なれの駒にかり飼はむさかり過ぎたる下葉なりとも(典侍) **
** 訪れがあれば御馳走いたします盛りの過ぎた私を添えて(俵万智さん略) **
 

** 笹分けば人や咎めむいつとなく駒なつくめる森の木がくれ(光源氏) **
** 行ったら恨まれましょう大勢の馬がなついている君の森(俵万智さん略) ** 
 




花宴(はなのえん)

登場人物   系図へ

朧月夜の君(おぼろづきよのきみ) ライバル家右大臣の姫君、弘徽殿の妹。朱雀帝の女御となるはずでしたが、源氏との密会が災いして女御にはなれませんでした。
典侍として入内し、結局帝の寵愛を受ることになりますが、源氏を忘れることが出来ずに、密会を重ねます。


【あらすじ】 

二月二十日過ぎに、桜の宴が催されましたが、弘徽殿の女御は、藤壺の宮がこのような席の上座にいることが不愉快でなりません。
詩文に秀れた方々は、舞や詩を披露しますが、源氏のそれは際だっています。藤壺の宮は複雑な気持ちでおります。
宴の終わり、源氏は藤壺の宮が気になるが、如何にもならず、弘徽殿の細殿に足を向けます。

「朧月夜に似るものぞなき」美しい詩を口ずさみながら、見目麗しき女が現れます。運命の出会いです。
この女が誰かも分からずに、一夜を明かし、互いに扇子を交換して別れるが、もしかして、兄朱雀帝の女御として入内すると言われている右大臣の姫では無かろうかと、思いめぐらすのでした。

何日も会わないので、寂しがっているだろうと若紫を訪れ、留守中のお話などしてから、左大臣家を訪れますが、葵の上は相変わらずです。

源氏の君も朧月夜の姫君も、お互い思い焦がれるておりました。春になり、右大臣家では新築の邸が完成して、「藤の宴」が催されました。招かれた源氏は、そこで、朧月夜の姫君に再会します。

初めて会った朧月夜に源氏が詠んだ歌

** 深き夜のあはれお知るも入る月のおぼろけならぬ契りとぞ思ふ **
** 美しい朧月夜よあなたとのおぼろげならぬ出会いと思う(俵万智さん略) **
 

   ** 梓弓いるさの山にまどふかなほの見し月のかげや見ゆると(光源氏) **
** 月光のほのかに見えた君の影また逢いたくて迷う、私は(俵万智さん略) **
 

** 心いる方ならませばゆみはりのつきなき空に迷いはましやま(朧月夜) **
** 本当に思うかたなら月明かりなき空にても迷うでしょうか(俵万智さん略) **
 





葵(あおい)

登場人物  系図へ

六条御息所の娘(ろくじょうのみやすどころのむすめ) 伊勢神宮の斎宮として、母とともに伊勢に下る。後年、冷泉帝に入内して、秋好中宮となります


【あらすじ】 

二年の月日が流れています。間朱雀帝の治世となり、位を退いた桐壺帝は藤壺の宮とべったりの日々を送っております。
源氏は、藤壺の宮と逢うことは全くできなくなり、元気がありません。
六条御息所のほうは、源氏が少しも振り向いてくれず、自分の身の振り方を考えておりました。一人娘が、伊勢神宮の斎宮に決まりましたので、自分も一緒に伊勢に下ろうかと思っております。

4月になり、加茂川の葵祭が行われ、その行列に源氏が出るというので世間は大騒ぎです。いつもは、突慳貪な葵の上もこの日ばかりは、見物にでかけます。
六条御息所も、伊勢に下ってしまえばもう会うことも出来ません。源氏の姿を人目見たいものと、こっそり網代車で出掛けました。
一足遅くやって来た葵の上は、権勢を笠に、他の車を強引に押しのけます。六条御息所の車も例外ではなく、大勢の人前で、恥をかかされ、悔し涙にくれます。これが「葵祭の車争い」の名場面です。

懐妊中葵の上は物の怪に悩まされて、体調は最悪となり命の危険すら出てきました。元々、源氏は正妻である葵の上には、疎まれながらも何れは心を開いてくれるのではないかと、期待して居りましたし、一番大事にしていた人でもありましたから、大変心配して付ききりなのです。
一方、六条御息所は、葵祭のショックから立ち直れず、鬱々しておりました。女の怨念、物の怪は六条御息所の生霊だったのです。

物の怪が去って、葵の上は無事に男の子(後の夕霧)を産みますが、再び六条御息所の物の怪が現れ、急死してしまいます。
源氏は妻の死を悲しむと共に、女の凄まじい怨念に今更ながら驚くのでした。
49日も過ぎ、源氏は、二条院へもどりますと、若紫がさらに藤壺にそっくりに美しく成長しています。
喪中にもかかわらず、源氏は若紫と新枕を交わします。「紫の上」の誕生です。



傷心の六条御息所の歌

** 袖ぬるるこひぢとかつは知りながら下り立つ田子のみづからぞうき **
** 泥沼の恋と知りつつ寺便から踏み込んでゆくことの悲しさ(俵万智さん略) **


まるでいい加減な源氏の切り返し

** 浅みにや人は下り立つわが方は身をそぼつまで深きこひじを **
** 
踏み込めるほどの浅さよわたくしは全身泥につかっています(俵万智さん略) **





賢木(さかき)


源氏二十三歳の秋から二十五歳夏までの物語です。源氏に暗雲が・・・

六条御息所との別れ、藤壺の出家、朧月夜との密会が露見するという、三つの重大な山があります。


【あらすじ】 

源氏の正妻の座につくのは、六条御息所ではないかと世間では噂されていましたが、源氏との関係に絶望していた御息所は、斎宮(一人娘)と共に伊勢へ下ることを心に決めます。源氏は野の宮へ訪ねて行き、下向を思いとどまるように説得しますが、御息所の決心は固く辛い別れとなりました。

十月、桐壺院の病状が悪化します。院は、朱雀帝に、東宮と源氏の事を頼み、翌月崩御されます。四十九日も過ぎ藤壺の中宮は三条へ移られます。権勢は、急速にライバルの右大臣側へ移り、源氏の先行きに暗雲が立ち込み始めます。
一方、朧月夜は、尚侍(ないしのかみ)になり、帝には誰よりも寵愛されていながら、源氏を忘れることなど出来ずに密会を重ねます。

桐壺院の遺言により、後見人になった源氏は、藤壺に言い寄り密会します。桐壺は苦悩の末、東宮を守る手段として突然出家します。
あまりにも突然の事で、源氏は立つことさえ出来ぬほどのショックをうけるのでした。年が明けると、左大臣派の人達は失脚し、ライバル右大臣派が権勢を握ります。

その夏、源氏は、右大臣家に里帰りしていた朧月夜と毎夜のように密会を続けていました。有る夜凄まじい雷雨があり夜を明かします。ところが、運悪くその現場を右大臣に見つかってしまいました。これを聞いた大后は激怒し、目の敵である源氏追い落としの策略を始めます。



偶然出会った朧月夜に「前から好きだったよ」なんて詠みかけた歌


** 深き夜のあはれを知るも入る月のおぼろけならぬ契りとぞ思ふ **
** 美しい朧月夜よあなたとのおぼろげならぬ出会いと思う(俵万智さん略) **





花散里(はなちるさと)

登場人物 

花散里(はなちるさと) 亡き桐壷院の女御のひとり麗景殿女御の妹で、源氏の子「夕霧」や「玉鬘」の養母となり、物語の最後まで源氏の心安らぐ女として愛されるのです。


【あらすじ】 

失脚の憂き目にあっている身となれば、煩わしいことばかり多く、出家でもしてしまおうかと思っても、捨てておけない事も多く、名残惜しくもあり、鬱々としておりました。そのような折、かつて、亡き桐壺院の女御のひとり麗景殿女御の妹(三の君)を思い出します。

珍しく、五月雨の空が晴れた日に、思い立ち久々に訪ねます。かなり前のことですから「逢瀬は一度だけ、女は覚えているだろうか」と少し気が引ける源氏です。麗景殿女御や花散里と昔しを懐かしみ、暫くぶりに、心安らぐのでした。



巻二はこれにて終了


←Back 源氏のとびら U  P Next→